MSSP・MSP・MDRの違い:役割、料金体系、自社に必要なのはどれか
マネージドセキュリティサービスプロバイダ(MSSP)、MSP、MDRがそれぞれ何を担当するか、料金体系の傾向、自社に必要なものを決める簡単な判断ルールを解説します。
要点: MSPは日々のIT運用を担います。MSSPはセキュリティ製品の運用と監視を担います。MDRはセキュリティの中でも範囲を絞ったサービスで、アナリストがエンドポイント・ID・メールのアラートを見て、本物の脅威に対応します。中小企業の多くは、まずセキュリティの基本がしっかりしたMSPを選び、夜間や休日にアラートを見る人がいなければMDRを足すのが現実的です。
「MSSPが必要」「MDRを入れるべき」と言われた経営者・情シス担当者が、予算と体制にとって何を意味するのかを整理するための記事です。読み終えると、項目ごとの比較、一般的な料金体系、自社に当てはめられる判断ルールが分かります。
3つを一言で言うと
- MSP(マネージドサービスプロバイダ): IT運用を担当します。サービスデスク、端末、パッチ、バックアップ、アカウントに加え、セキュリティの一部も含みます。マネージドサービスプロバイダとはを参照してください。
- MSSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダ): セキュリティ機能を担当します。セキュリティ製品の運用・監視、脆弱性スキャン、ログ確認、セキュリティ報告などです。
- MDR(Managed Detection and Response): アナリストがアラートを仕分け、お客様のシステム上の脅威を調査して対応するサービスです。
市場では呼び名が重なります。セキュリティチームを持つMSPもあれば、MDRも売るMSSPもあり、ITの運用は一切しないMDR事業者もあります。名称ではなく、サービス範囲を読んでください。
項目ごとの比較
MSP
- 主な役割: ITを動かし続け、最新に保つ。
- 見ているもの: 端末、サーバー、ネットワーク、バックアップ、ユーザーアカウント。
- 障害時に動く人: 提供会社のサービスデスクとエンジニア。通常は契約した時間帯の中。
- セキュリティの深さ: MFA、パッチ、エンドポイント保護、メールフィルタなどの基本対策。
- 一般的な料金: ユーザー数、デバイス数、段階別パッケージ。
- 向いているケース: IT部門の機能全体を任せたい。
MSSP
- 主な役割: セキュリティ対策の運用と監視。
- 見ているもの: ファイアウォールやセキュリティ製品のログ、脆弱性スキャンの結果、場合によってはSIEM(セキュリティ情報イベント管理)。
- 障害時に動く人: 会社によって違います。通知だけで終わる場合も、決めた範囲で対処する場合もあります。どちらか確認してください。
- セキュリティの深さ: 幅広い。スキャン、報告、ポリシー支援を含むことが多い。
- 一般的な料金: 監視対象のデバイスやログ源の数、ユーザー数、またはサービスレベル別の固定パッケージ。
- 向いているケース: すでにITサポートはあり、セキュリティ運用や報告を足したい。
MDR
- 主な役割: 進行中の脅威を見つけて止める。
- 見ているもの: エンドポイント、ID、メール、クラウドのツールのアラート。対象範囲はサービスによる。
- 障害時に動く人: アナリストが調査し、自ら対処するか、お客様の対応を支援します。確認なしで実行できる操作の範囲を確かめてください。
- セキュリティの深さ: 検知と対応は深いが、それ以外は狭い。PCのパッチ適用やパスワードリセットはしません。
- 一般的な料金: ユーザー数またはエンドポイント数。対象範囲や時間帯で段階が分かれることもあります。
- 向いているケース: ツールはあるが、アラートを見て対応する人がいない。
ベンダーがMDRをどう説明しているかの一例として、Microsoft Learnは、Microsoft Defender Experts MDRではアナリストが24時間体制でインシデントのキューを管理し、お客様に代わって仕分けと調査を行い、自ら対処するか対応を支援すると説明しています。また、このサービスは自社のSOCを置き換えるものではなく補強するものであり、現在進行中の侵害に対するインシデントレスポンスの契約ではない、とも書かれています(2026年10月28日にMicrosoft Learnで確認)。このサービスはほかのDefender製品とは別に販売され、Plan 2は最低1,500ライセンスが必要なため、比較的大きな環境向けです。ほかのMDRは内容が異なるため、範囲は書面で比較してください。
どれが必要か
次のルールを順に当てはめます。
- 外部にも社内にもIT担当がいない。 まずセキュリティの基本を含むMSPを選びます。先にMDRを買うと、端末とアカウントが管理されないままになります。
- MSPはいるが、夜間・休日にアラートを見る人がいない。 MDRを追加するか、MSPにアラート監視と対応の有無、対応時間を確認します。当社のセキュリティオペレーションセンターのサービスも参考にしてください。
- 取引先や監査人にセキュリティ報告、ログ確認、スキャン結果を定期的に示す必要がある。 MSSPを検討し、取引先との契約が実際に何を求めているかを確かめたうえで、必要な報告書が範囲に入っているか確認します。
- 社内の情シスは端末運用が得意だが、セキュリティ専門家がいない。 MSPを追加する前に、MDRかMSSPを検討します。
- 小規模で予算が限られている。 基本を先に固めます。MFA、パッチ、バックアップ、エンドポイント保護です。当社のマネージドITセキュリティサービスのページで、これらをどうまとめているかを説明しています。
エンドポイントでアンチウイルス、EDR、MDRのどれにするか迷う場合は、アンチウイルス・EDR・MDRの比較をご覧ください。
どの種類の会社にも聞く質問
- 当社のどのシステムが範囲内で、どれが範囲外ですか。
- アラートを最初に見るのは誰で、どの時間帯ですか。
- 確認なしで実行できる操作と、承認が必要な操作はどれですか。
- 確定した脅威への対応時間を、書面でどう約束できますか。
- 毎月何を受け取れますか。サンプルを見られますか。
- 契約を終えるとき、セキュリティ製品とデータは誰のものですか。
- 当社のMSPや社内チームへの情報の引き継ぎはどうしますか。
よくある間違い
- 名称だけで選ぶ。 同じ名称でも、範囲は大きく違うことがあります。
- MDRがMSPの代わりになると思う。 端末やユーザーの管理はしません。
- アラートが出れば対応されると思う。 監視のみのサービスは知らせるだけで、対処しないことがあります。
- ツールが重複する。 MSPとMDR事業者の両方がエンドポイント保護を入れると、競合して費用も二重になります。
- 引き継ぎを決めていない。 MDRのアナリストが「このPCを隔離したい」と言ったとき、深夜3時でも権限のある人に連絡がつく必要があります。連絡経路を書いておきます。
効果の確認方法
- テストアラートか机上訓練を依頼し、誰がどれくらいで対応するかを見ます。
- 最初の月次レポートを、契約したサービス範囲と照らします。
- 自社側の承認者に夜間・休日でも連絡がつくことを確認します。
FAQ
MSPとは何の略ですか?
managed service providerの略です。書面のサービス範囲とサービスレベルに基づいて、IT運用の全部または一部を担う会社を指します。
マネージドサービスプロバイダにはどんな例がありますか?
サービスデスクと端末運用を担う総合型、セキュリティ特化型、特定の業界に強い会社などがあります。範囲とサービスレベルで比べてください。
MSSPのセキュリティとは何ですか?
MSSPが代行する作業のことです。セキュリティ製品の運用と監視、弱点のスキャン、ログの確認、リスクの報告などです。
SIEMとは何ですか。MSSPは使いますか?
SIEMはセキュリティ情報イベント管理の略で、複数のシステムのログを集め、パターンを一か所で見られるようにするものです。顧客向けにSIEMを運用するMSSPもあります。委託先が運用するか、データは誰のものかを確認してください。
MSSPとMDRの違いは何ですか?
MSSPは幅広いセキュリティ運用を担い、報告やスキャンを含むことが多いです。MDRは進行中の脅威の検知と対応に絞っています。両方を売る会社もあります。
ITサポートとセキュリティを一つの範囲にまとめる当社のやり方は、マネージドITセキュリティサービスをご覧ください。
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