デスクトップサポートの範囲:L1とL2が担当する業務の線引き
デスクトップサポートでL1とL2が担当する業務、よくあるチケットの種類、処理時間の目安(例)、契約に入れる範囲チェックリストを整理します。
要点: デスクトップサポートは、社員が毎日使う端末とソフトウェアの面倒を見る業務です。対象はノートPC、デスクトップPC、プリンター、アカウント、Microsoft 365、その上のアプリです。L1は手順書やナレッジ記事で定型的な問題を解決します。L2は、深い調査、管理者権限、訪問が必要な案件を引き受けます。線引きは一覧にして書き出してください。「デスクトップサポート」とだけ書くと、関係者ごとに解釈が変わります。
この記事は、デスクトップサポートの範囲を発注する、書く、確認する立場の方向けです。総務、経理の責任者、あるいは「情シス」を兼務している担当者を想定しています。読み終えると、各作業をL1、L2、範囲外のいずれかに振り分けられ、末尾のチェックリストを契約書やサービス説明書にそのまま使えます。
L1のデスクトップサポートは何を担当するか
L1は最初の窓口で、解決方法がわかっている問題を扱います。
- アカウントとアクセス:パスワードのリセット、アカウントのロック解除、MFAの再登録、標準グループへの追加。
- Microsoft 365の操作案内と基本的な障害:Outlookのプロファイル問題、Teamsのサインイン、OneDriveの同期エラー、メールボックスの容量超過。
- 印刷:プリンターの追加、止まったキューの解消、ドライバーの再インストール。
- 標準ソフトウェア:承認済みアプリのインストールと削除。
- 基本的な接続確認:Wi-Fi、VPNクライアント、自分だけの問題か全員の問題かの切り分け。
- 周辺機器:モニター、ドッキングステーション、ヘッドセット、キーボード。
- 記録と優先度付け:問い合わせはすべて優先度付きのチケットにし、既知の障害は親チケットに紐づける。
L2のデスクトップサポートは何を担当するか
L2は、L1で閉じられないチケットと、計画的な端末作業を担当します。
- 踏み込んだ調査:動作が遅い、頻繁にクラッシュする、プロファイル破損、アプリの不具合、ブルースクリーン、更新の失敗。
- 端末のライフサイクル:ノートPCのキッティングと再セットアップ、端末管理への登録、新入社員への引き渡し、退職者からの回収。
- ポリシーと権限:標準外のグループ所属、共有メールボックスやフォルダーの権限、端末ポリシー。
- ハードウェア障害:切り分け、保証修理の手配、契約で認められている範囲での部品交換。
- オンサイト対応:リモートで直らない場合や物理作業での訪問。詳しくは訪問とリモートのITサポートの違いを参照してください。
- 傾向の把握:同じ障害が繰り返すときの問題管理の起票と、ナレッジの更新。
この分け方の背景にある階層モデルは、L1・L2・L3サポートのレベルで説明しています。
範囲から外されがちな業務
次の項目は揉めやすいところです。事前に一つずつ決めて、書面に残してください。
- 業務アプリ(会計、ERP、業種別ソフト):通常はベンダーのサポート対象で、デスクトップサポートが見るのは端末側だけ。
- 私物端末やBYOD:ベストエフォートか、対象外にされることが多い。例外を誰が承認するか(IT責任者や上長など)も書いておく。
- サーバー、ファイアウォール、ネットワーク設計:別の契約範囲。
- ハードウェアの調達と廃棄:調達や安全な廃棄は別サービスになるのが一般的。
- 時間外対応:契約したサービス時間帯による。
- 研修:単発の操作案内はL1、正式な研修は別項目。
よくあるチケットはどこが担当するか
以下のレベル分けは例です。実際の線引きは、自社の範囲一覧で決めてください。
- パスワード忘れ、アカウントロック:L1。
- Outlookが開かない、パスワードを何度も求められる:まずL1。プロファイルやサインインのトークンが壊れていればL2。
- 新入社員のノートPCとアカウント:サービス要求。L2。
- ノートPCが非常に遅い:L1が基本項目を確認し、L2がディスク、メモリ、スタートアップ、更新を調べる。
- 1人だけプリンターがオフライン:L1。全員がオフラインならL2で、ネットワークやプリントサーバーの可能性。
- ソフトウェアのインストール依頼:承認済みリストにあればL1。なければ先に承認を取る。
- 共有メールボックスやフォルダーの権限:L2。データ所有者の承認が必要。
- 端末の紛失・盗難:セキュリティインシデントとして扱い、すぐにエスカレーション。
処理時間の目安はどのような形か
以下の数字は、時間表の形を示すための例です。Brocentの実績値ではなく、業界標準でもありません。実際の目標値は、契約とSLAのページで決まります。
- 例、P1(多数が業務停止、またはセキュリティ上のリスク):15分以内に初回応答、復旧まで30分ごとに状況を更新。
- 例、P2(1チームが作業できない):1時間以内に初回応答、2時間ごとに更新。
- 例、P3(1人が作業できないが回避策あり):営業時間で4時間以内に初回応答、営業日1〜2日で解決。
- 例、P4(問い合わせ、軽微な問題):当営業日中に初回応答、営業日5日以内に解決。
- 例、サービス要求(新入社員の受け入れ):合意したリードタイム。たとえば依頼内容が揃ってから営業日3日。
優先度の意味は、ITサポートSLAのP1〜P4の優先度をご覧ください。
範囲チェックリストには何を書くか
次のリストを契約書やサービス説明書にコピーし、すべての行を埋めてください。
- 対象端末:Windows、macOS、モバイル。会社支給のみか、BYODも含むか。
- 対象ソフトウェア:承認済みアプリの一覧と、追加できる人。
- サービス時間帯:L1とL2それぞれの対応日と時間。
- 受付チャネル:電話、メール、ポータル、チャット。どのチャネルをいつ監視するか。
- 優先度表:定義、初回応答と解決の目標値。例の数字は、合意した数字に置き換える。
- 訪問対応:含まれる条件、予約方法、出張の上限。
- ハードウェアの扱い:誰が切り分け、誰が保証請求し、誰が予備機を保管するか。
- 入社・退社の手順:リードタイムと、指名された承認者。
- エスカレーション経路:目標を逃しそうなとき、誰に連絡するか。ITエスカレーションマトリクスのテンプレートを参照。
- レポート:種類別のチケット数、初回解決率、再オープン数を月次で。
よくある間違い
- 一覧にせず「ITサポート全般」と書く。意見が食い違うたびに、範囲をめぐる議論になります。
- 入社・退社を忘れる。最も予測しやすい作業なのに、範囲に入っていないことが多いです。
- アクセス依頼の承認ルールがない。サポート担当者が、ユーザーの口頭だけで権限を付与してはいけません。
- リモートのみを完全なデスクトップサポートとして扱う。訪問がいつ含まれるかを明記してください。
- スピードだけを測る。再オープン数と初回解決率も追ってください。
機能しているかの確認方法
- 直近に起票した20件のチケットを取り出し、一覧を見て誰が担当すべきだったか判断できるか確認する。
- 「範囲外」または不明だったものを数える。2〜3件を超えるなら、範囲をもう一度見直す。
- 月次レポートで、再オープンや同じユーザー・端末からの繰り返しを見る。L2かナレッジに穴があるサインです。
- 社員3人に、不具合が起きたら最初に何をするか聞く。「同僚に聞く」と答えるなら、連絡経路がまだ分かりにくいということです。
よくある質問
デスクトップサポートエンジニアは何をするのか
社員の端末とその上のソフトウェアを、セットアップ、保守、修復します。チケット対応、障害の調査、ノートPCのキッティングと端末管理への登録、アカウントと権限の管理を行い、難しい案件は上位に引き継ぎます。
デスクトップサポートとは何か
ユーザーのPC、プリンター、アカウント、標準ソフトウェアを使える状態に保つサービスです。通常は、定型的な問題を扱うL1と、深い調査や現地作業を扱うL2に分かれます。
デスクトップサポートに資格は必要か
必須とされる単一の資格はありません。雇用主によって異なり、WindowsやMicrosoft 365、ネットワークのベンダー資格を求める場合もあれば、経験を重視する場合もあります。募集要項や契約の要件で確認してください。
ITデスクトップサポートにはどんな資格が必要か
WindowsとmacOSの実務経験、Microsoft 365管理の基礎、ネットワークの基礎、切り分けの手順、わかりやすい文章での連絡力です。決まった資格要件はなく、雇用主によって異なります。
次のステップ
上記の範囲をサービスとして受けたい場合は、BrocentのITサポートをご覧ください。
Brocent は香港・シンガポール・中国本土・米国向けのマネージドITサポートのプランとユーザー単価の月額料金を公開しているため、問い合わせ前に比較できます。プランと料金を見る。
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